プール安全管理の現状と問題点とは?

プールとは、人が作り、人が管理し、人が利用するものという考えがあります。そして当然、このプールで事故を起こし、事故の犠牲になるのも人です。
プールにおける安全管理の問題はまさに人の問題なのです。

平成23年7月31日に、大阪府泉南市の小学校プールの開放時に小学1年生の児童が水死した事故により、「いま、プールの安全は誰が、どのような基準で、どう行うべきか?」という議論が起きています。

「誰が?」と言うことについては、プール施設を設置し管理する行政や企業などの「施設管理者」であり、プールで実際に安全管理に従事するプールライフガード(※脚注)や監視員など「安全管理者」と言えます。しかし、それらを担う人々のプールの安全管理に対する「意識」「知識」「技能」がどのようなものなのか? 適正なレベル以上のものなのか? が問われるべき重大な問題なのです。また、プールにおける安全の担い手は、その両者だけではなく、そのプールを利用する「利用者」も安全を守るべき主体者の一員なのだと言う意識がとても重要です。

本来、プールの安全も人任せのものではなく、これらの立場にある人々が、それぞれ主体的に行うべきことを、きちんと行うことで、成しえるものと考えます。

「どのような基準?」ということについては、もともとこの国にプールの安全管理に関する厳正な基準や法的規制はありません。しかし、これも平成18年埼玉県ふじみ野市の公営プールにおける小学2年生の児童の死亡事故を契機に、文部科学省・国土交通省などにより「プールの安全標準指針」が策定されたことは、大いに評価すべきことであります。しかし、これも一つの目安としての指針であり、法的拘束力のあるものではありません。

また警察庁による全国の警察署と警備業者に対する通達も存在しますが、いまだ汎用なものになるにいったっていません。

そこで、各自治体や施設ごとに安全管理業務についての内容を確認し、仕様書や契約書を作成し運用されていますが、形式化、形骸化されてしまうことが多く、実際に不履行や違約に対する検査・監督も困難で、罰則などの法的規制も適用されないことから効果が上がらない状況です。

では、これらの状況を改善し「どう行うべきか?」と言うことについて、いま不安や疑問が全国から寄せられています!各行政担当者も、教育関係者も、メディアも関連業者も、父母も地域のボランティアも「これ!」と言う指標も無く、迷い悩んでいる現状です。 そして何より事故は起き続けています。

そこで、私たちは、各関係省庁や各自治体、関係団体との連携による具体的な事業を通じて、一日も早く、それらの不安や悩み、問題や疑問を解決し、何よりも人命を尊重したプールにおける安全のスタンダードを提供すべく、安全管理システムの構築や、そのための社会環境整備をリードしていくことを、大きな使命と考え活動を展開しております。

(※)プールライフガードと称するためには、当会発行のプールライフガードライセンスなどの取得が必要です。